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3.絵筆の力

トンモイさんの描いた考えが、世間に大きな影響を与えることもありそうですよね。

トンモイさん
実際ありますね。
少し前になりますが、社会福祉大臣で、どんな会議でも寝ちゃう人がいたんですよ(笑)。
どんなに重要な、どんなに大きな会議でも寝てる。
記者たちはそれをおもしろがっていました。
あの時は、その大臣が学校での行事に招待されてたんですけど、なんと彼は、大勢の子供たちを前にして、ステージ上でタバコを吸い始めた。
取材に行っていた記者たちはみんな驚いて、その様子をすぐに報道したんです。
もちろんその大臣は、世間から大きな批判を受けました。
小さな子どもたちの前で、ゲストがステージ上でタバコを吸うなんて、いったい何を考えているんだと。
反省とか謝罪とかを求めますよね。
でも、彼がその数か月後にスピーチの場で言ったのは、反省でも謝罪でもなくて、喫煙した様子を報道した記者たちへの罵りだったんです。
「KHOBISH(コビッシュ)」って、ベンガル語で嫌なやつとかゴミって意味なんですけど、スピーチで、記者たちのことをそう呼んだんです。
僕は、それが起きた時は会社にいたので、すぐにこの絵を描きました。

その時にトンモイさんの描いた絵。2014年8月9日にDhaka Tribuneオンライン版に掲載されたもののスクリーンショット。記事もこちらから読めます。www.dhakatribune.com/bangladesh/2014/08/09/smoking-minister-mohsin-blasts-media-again/

トンモイさん
彼は僕たちのことを嫌なやつだと言ったけど、実際は大臣のほうが嫌なやつじゃないですか。
子どもたちの前でタバコは吸うし、会議では寝るし。
そのスピーチの映像の中で、大臣の後ろの方に控えているお付きの人たちが、大臣の発言に笑ってしまっている様子が映っていて、それも描きこみました。
これが、夜の10時くらいに新聞のオンライン版に載って、翌朝に刷られて配られる。
その日、起きたらたくさんの着信やメッセージが来ていて。
まあでもそういうことは間々あるんです。
おもしろい絵を描いてそれが掲載された時は、みんな連絡をくれて、感想をくれる。
ただ、その日はEメールまで来ていました。
読んでみたら、たくさんの人が、前の晩にオンラインに載せた絵と記事を見て、その絵を横断幕に印刷して、翌朝から大臣への抗議活動をしていると。
その様子を、みんな、写真やなんかで教えてくれたんです。

トンモイさんが描く絵の力というか、インパクトの大きさを感じるお話ですね。

トンモイさん
本当におもしろい仕事だなと思いましたね。
朝起きたら、前の晩に僕が描いたものがすでに横断幕に印刷されていて、それを持った人たちが抗議活動をしているんですから。

つづきます