「アイリンさんの食卓」はじまります。
TSUMUGIにて、「アイリンさんの食卓」という
連載が始まります。
タイトルそのままに、アイリンさんの食卓を
紹介するものです。
アイリンさんは、インドの東に位置する
バングラデシュの、タクルガオンという地に
暮らす女性。
日本の高校に相当するカレッジの先生で、
哲学を教えています。
ご家族は4人。
大学時代に知り合った旦那さんと
大学生の息子さん、カレッジ生の娘さんです。
お料理好きのアイリンさんは、
バングラデシュの人たちが毎日食べる
色々な種類のカレーはもちろん、
「ルティ」という薄い焼きパンや、
それと一緒に食べるジャムのような「ハルワ」、
牛ひき肉を使ったスナック「ビーフカバブ」など、
あらゆるものを、ご自身の手で
時間をかけてつくります。
「わたしの母はとても料理上手なんですが、
わたしが子供の頃は病気がちで、
ごはんがつくれない時もよくありました。
なのでわたしは、ベッドで休む母に
指示をもらいながら、母に代わって
料理をしていたんです。
そうしてわたしがつくった料理を
家族はよろこんでくれて、それがうれしくて、
料理が好きになりました。」
アイリンさんは、お料理のレパートリーも
豊富です。
「父の仕事の都合や自身の学業のため、
これまでバングラデシュ国内の5つの地域で
暮らしてきましたが、その度に、
その地域特有の料理に触れることができました。」
バングラデシュも日本と同様、
地域によって採れる野菜や魚に違いがある。
その違いが、各地域の料理に
特色をもたらしているのだそうです。
ご近所の人との情報交換も
レパートリーが増える理由の一つ。
アイリンさんご家族とご近所さんご家族は、
よくお互いのおうちを行き来して
おしゃべりを楽しみます。
その仲の良い様子は、一体どの人たちが家族で、
どの人たちがご近所さんなのか分からないほど。
そんな楽しいおしゃべりの中で、
最近つくったもの、おいしかったものの
レシピを交換します。
こんな風に、お料理が好きで
レパートリーも豊富なアイリンさん。
でも、先生として働く日々は忙しく、
毎日毎食ごはんをつくるのは
容易ではありません。
それでも時間をかけてごはんをつくるのは、
単にお料理が好きだからだけではなく、
「家族に、安全・安心でおいしいごはんを
食べてほしい」という思いがあるから。
「バングラデシュのレストランや食品工場の
衛生・安全管理にはまだ不安な部分があるので、
なるべく、自分の目の行き届いたごはんを
食べてほしい。
バングラデシュのお母さんの多くは
こんな風に思っているんじゃないかと思います。」
そんな思いから忙しくてもごはんをつくる
アイリンさんを、ご家族はサポートします。
朝、旦那さんはリビングと玄関の
掃き掃除を済ませると、
玄関先で玉ねぎの皮むきを始めます。
バングラデシュのカレーに
欠かせない玉ねぎですが、
日本のものと違ってとても小さいので、
何個もむく必要があるのです。
娘さんや息子さんは、テーブルの上を片づけて
朝ごはんのセットをしたり、たまごを溶いたり、
お湯を用意したり、必要な調理器具を
アイリンさんへ手渡したり。
アイリンさんの側であらゆるお手伝いをします。
息子さん曰く「うちでは、家事はチームプレー。
母はその司令塔です。
僕は普段大学の寮で生活していますが、
帰省中は、できることはなんでもやります。」
とのこと。
アイリンさんは、家事は男女に関係なく
するものだと、お子さんたちが小さなころから
伝えてきたのだそうです。
こうしてつくられるアイリンさんの食卓。
TSUMUGIでは、この、アイリンさんの
家族への思いが込められた食卓を
紹介していきます。