Draw the Future
バングラデシュで、「描くこと」を
盛り上げている方がいます。
ソヨッド・ラシャッド・イマム・
トンモイさんです。
新聞社のエディトリアルカートゥニストとして、
絵を通してニュースを伝える傍ら、
Cartoon Peopleという活動を開始。
YouTubeで絵の描き方に関する動画を公開したり、
絵に関心のある人が集まって、
みんなでスケッチするイベントを
行ったりしています。
現地の新聞で、トンモイさんと
Cartoon Peopleのことを知って、
実際にYou Tubeで動画を見てみて、
そうしたら、ベンガル語は分からないけれど
なんだかおもしろい。
トンモイさんのことが気になり、
実際に会ってお話を伺ってきました。
あまり聞きなれない
エディトリアルカートゥニストという
お仕事のこと、Cartoon Peopleのこと、
そしてトンモイさんご自身のことなど、
盛りだくさんの全7回です。
Syed Rashad Imam Tanmoy(ソヨッド・ラシャッド・イマム・トンモイ)
1987年、バングラデシュのダッカ生まれ。大学にて、計算機科学を専攻。現在は、Dhaka Tribuneのエディトリアルカートゥニスト、Unmadのアソシエイトエディターを務める。
トンモイさんのFacebookページはこちら
3.絵筆の力
- -
- トンモイさんの描いた考えが、世間に大きな影響を与えることもありそうですよね。
- トンモイさん
- 実際ありますね。
少し前になりますが、社会福祉大臣で、どんな会議でも寝ちゃう人がいたんですよ(笑)。どんなに重要な、どんなに大きな会議でも寝てる。記者たちはそれをおもしろがっていました。
あの時は、その大臣が学校での行事に招待されてたんですけど、なんと彼は、大勢の子供たちを前にして、ステージ上でタバコを吸い始めた。取材に行っていた記者たちはみんな驚いて、その様子をすぐに報道したんです。もちろんその大臣は、世間から大きな批判を受けました。小さな子どもたちの前で、ゲストがステージ上でタバコを吸うなんていったい何を考えているんだと。反省とか謝罪とかを求めますよね。
でも、彼がその数か月後にスピーチの場で言ったのは、反省でも謝罪でもなくて、喫煙した様子を報道した記者たちへの罵りだったんです。「KHOBISH(コビッシュ)」って、ベンガル語で嫌なやつとかゴミって意味なんですけど、スピーチで、記者たちのことをそう呼んだんです。
僕は、それが起きた時は会社にいたので、すぐにこの絵を描きました。 - トンモイさん
- 彼は僕たちのことを嫌なやつだと言ったけど、実際は大臣のほうが嫌なやつじゃないですか。子どもたちの前でタバコは吸うし、会議では寝るし。そのスピーチの映像の中で、大臣の後ろの方に控えているお付きの人たちが、大臣の発言に笑ってしまっている様子が映っていて、それも描きこみました。
これが、夜の10時くらいに新聞のオンライン版に載って、翌朝に刷られて配られる。その日、起きたらたくさんの着信やメッセージが来ていて。まあでもそういうことは間々あるんです。おもしろい絵を描いてそれが掲載された時は、みんな連絡をくれて、感想をくれる。ただ、その日はEメールまで来ていました。読んでみたら、たくさんの人が、前の晩にオンラインに載せた絵と記事を見て、その絵を横断幕に印刷して、翌朝から大臣への抗議活動をしていると。その様子を、みんな、写真やなんかで教えてくれたんです。 - -
- トンモイさんが描く絵の力というか、インパクトの大きさを感じるお話ですね。
- トンモイさん
- 本当におもしろい仕事だなと思いましたね。朝起きたら、前の晩に僕が描いたものがすでに横断幕に印刷されていて、それを持った人たちが抗議活動をしているんですから。
つづきます