台湾的日々漢方
エリさんは台北で、
漢方薬局を営むご両親のもとに
生まれました。
台湾の大学で音楽科を卒業し
アメリカでクラリネット奏者として
活動した後、日本の大学院へ。
卒業後、漢方ブランド「DAYLILY」を
起ち上げ、おしゃれでかわいい、
気持ちも体調も上がるような
漢方ライフを提案しています。
「台湾での漢方の存在感や立ち位置は、
日本でのそれとは少し違います」
とエリさん。
曰く、台湾での漢方は、
「もっと身近で、普段の生活にあるもの」
なんだそうです。
普段の生活に漢方があるって、
毎日漢方薬を飲んでるってこと…?
と思ったら、そうではない様子。
台湾の人たちは、漢方の知識や考え方を
普段の生活に取り入れて、
自分の体と上手に
お付き合いしているようなのです。
そんな台湾の人たちの生活について
エリさんが書いてくれることになりました。
漢方のこと、台湾の人たちのこと、
わたしたちの体のこと、
みなさんと一緒に
楽しみながら知っていきたいです。
不定期連載、編集担当は深谷です。
通称エリさん。
台湾の台北市にある漢方薬局に生まれ育つ。国立台湾師範大学音楽学科修了後、ニューヨークでクラリネット奏者として活動。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科修士課程を修了。卒業後、大学院時代の先輩である小林百恵(こばやしもえ)さんと一緒に、漢方のライフスタイルブランド「DAYLILY」を起ち上げ、アジアの女の子たちの体温と気分をあげるべく活動している。
DAYLILYのウェブサイトはこちら
3.DAYLILYのこと。
こんにちは、エリです。
台湾の人たちの生活と漢方について
第1回、第2回とお話ししてきましたが、
「これを書いているエリという人は、
一体何者なのか」と思っている方も
いるのでは、と思いました。
なので今回は、わたしの自己紹介と、
わたしが起ち上げた漢方ブランド
「DAYLILY」のお話を
させていただきたいと思います。
お付き合いいただけますとうれしいです。
改めまして、わたしはエリと申します。
エリ、という名前は本名ではなく、
幼稚園の時に先生がつけてくれた
英語のニックネームなのですが、
親しい友人たちはみんな、わたしのことを
「エリ」や「エリちゃん」と呼びます。
わたしは、台湾で、
漢方薬局を営む両親のもとに生まれました。
2015年、慶應義塾大学大学院入学のために
日本へやって来て、
2017年に修士課程を修了、
その後、日本の会社で働きながら
漢方ブランド「DAYLILY」を起ち上げ、
2018年3月に、その1号店を
台北にオープンしました。
その1号店をオープンする際、
DAYLILYは「Readyfor」という
クラウドファンディングサイトで支援を募り、
開店資金を調達したのですが、
そのプロジェクトページを見て
台湾の漢方事情に興味を持った
TSUMUGIの深谷さんが、
「台湾の人たちの生活と漢方について
文章を連載してみませんか」と誘ってくださり、
こうして書くことになりました。
DAYLILYのはじまりは、
日本での大学院時代にあります。
ある日の研究室ミーティングで、
指導教官であった奥出直人先生に、
台湾の漢方について話す機会がありました。
すると、奥出先生は
その話にとても興味を持ってくださり、
研究室内に、漢方のサービスを研究する
チームをつくってくださったのです。
このことが、わたしはとてもうれしかった。
それまでのわたしは、生まれたときから
いつも近くにあった漢方について、
その良さを知りつつも、どこかで
恥ずかしさのようなものを感じていました。
漢方は体にいいものだけど、
匂いがあるし、あまりかわいくない。
友人たちに、「わたしは漢方を取り入れているよ」
とは言いづらかったです。
けれど、日本の大学院で出会った
先生や研究室の仲間たちは、
「漢方、すごくいいね!」と言ってくれた。
こうしたみんなの反応によって、
わたしは、家業でもある漢方のことを
誇れるようになりました。
そして、その「漢方、すごくいいね!」と
言ってくれた研究室の仲間の一人が、
DAYLILYを一緒に起ち上げた
小林百恵(こばやしもえ)さんでした。
もえさんは、同じ研究室の先輩で、
学部時代に、日本の伝統を
次世代につなぐことを目指す
「和える」という会社の起ち上げに携わったり、
学内ではプロジェクトリーダーを
務めていたりとスーパーウーマン。
わたしにとって憧れの存在でした。
そのもえさんが、漢方のサービスを
研究するチームで行った実証実験に
参加してくれました。
その実証実験は、
「アジアの女性をきれいにする漢方ショップの
コンセプト実証」というテーマで、
当時のDAYLILYのコンセプトを体験できる
試験的なお店をつくり、参加した人たちの
反応を見るというものだったのですが、
それに参加したもえさんは、
「エリちゃん、これ、すごくいいですよ!」
と言って、DAYLILYについて
たくさん話を聞いてくれました。
その後、わたしは大学院を修了し
日本の会社で働き始めたのですが、
その直後に、もえさんから
DAYLILYを一緒にやろうと誘われました。
わたしは、まず、とても驚いたし、
就職したばかりだったので、
「このタイミングでできるかな」
という不安がありました。
でも、DAYLILYは、夢というか、
漢方、そして生き方に対する
わたしの考えや想いそのものなので、
一旦、会社に勤めていることは忘れて、
その場でオーケーをしました(笑)。
こうして、もえさんと起ち上げることになった
DAYLILYですが、
わたしたちがチャレンジしていることは、
一般の漢方ブランドとは異なります。
今までの漢方ブランドは、
漢方をそのまま売っていました。
そこには、なんのデザインも存在しません。
でも、DAYLILYは漢方を
ライフスタイルにしたいと考えるブランドです。
なのでわたしたちは、
どうすれば、人々が日常生活に
気軽に漢方を取り入れることができるのか、
どうすれば、人前でも堂々と
漢方アイテムを使えるのかなどを考えながら
商品の開発をしています。
「漢方=薬」というイメージを払拭し、
おしゃれでかわいいアイテムにすること、
そうして、もっとたくさんの人に
漢方に触れてもうらうことが、
わたしたちの目標です。
そして、それを可能にしてくれるのが
DAYLILYの仲間である、デザイナーの
河ノ剛史(かわのたけし)さんです。
河ノさんは、もえさんが「和える」に
携わっていたことがきっかけで知り合い、
その縁で繋がりました。
これまで、漢方に対して
特になんの思い入れもなかった河ノさん。
「元気でかわいくあろうとする女の子を
応援したい」という想いから
DAYLILYにジョインしてくださり、
最近では、DAYLILYの漢方ドリンクを
飲むようになりました(笑)。
わたしにとって、河ノさんは
信頼できる、頼れる存在です。
いつも、わたしやもえさんが
「かわいい!素敵!」と思うような
商品のデザインをしてくれる。
わたしが、仕事上で何かを間違えてしまうと、
その間違いを教えてくれて、
一緒に解決方法を考えてくれる。
厳しく、そして優しい人です。
河ノさんが仲間になってくれてうれしいし、
一緒にお仕事をすることがとても楽しいです。
こうしてひとつのチームとなったわたしたちが
「漢方をライフスタイルに」という
想いを持って開発したアイテムは、
例えば、「食べられる漢方茶 我最愛的事」。
缶の中身は、女の子の体にうれしい、
ナツメ、龍眼、黒豆の三つの生薬が
ブレンドされています。
それをカップに入れてお湯を注ぎ、
数分蒸らすだけで、手軽に漢方茶を
楽しめるアイテムです。
現代の女の子たちに、体に良い漢方茶を
毎日の生活に取り入れてほしい。
そのため、この手軽さにこだわりました。
漢方茶と聞くと、苦そうなイメージが
あるかもしれませんが、
日本の方たちの口に合うようにと、
何か月も試行錯誤してつくったこのアイテム。
飲むとまず、ナツメのいい香りがして、
その後に龍眼の甘みが感じられます。
黒豆が入っているので、
黒豆茶のような感じもあります。
実際に飲んだ日本の方たちからも
おいしいと言っていただいて、
とてもうれしいです。
このように、古くからある漢方をリデザインし
現代の人たちに届けること。
それが、DAYLILYの目指していることです。
DAYLILYのメンバーは、三人とも、
漢方業界に身を置いた経験などはありません。
そんなわたしたちが、商品を開発し、
実際に販売できているのは、
わたしたちを応援し、サポートしてくれる
人たちがいるからです。
わたしの父は、漢方の専門家、
母は、ずっと漢方薬局の店員をしてきました。
そんな両親は、DAYLILYのことを
わたしよりも心配してくれて、
DAYLILYのために
わたしよりも働いてくれました。
DAYLILYは、台湾の漢方会社の最大手である
順天堂さんにサポートを
していただいているのですが、それも、
両親がわたしたちを紹介してくれたおかげです。
他にも、化粧品の専門家の方や、
生薬の専門家の方、日本の漢方薬剤師さんが
DAYLILYをサポートをしてくださっています。
なぜ、こうしてたくさんの方たちが
DAYLILYのことを応援してくれるのか。
それは、応援してくれる方たち一人一人が、
漢方の力を知り、より多くの人に
漢方を届けたいと願っているからです。
漢方には、病気をすぐに治したり、
痛みをすぐに止めたりする力はありません。
けれど、漢方には、健康的な体、
病気になりにくい体をつくる力があります。
わたしたちを応援してくれる方たちは、
みんな、そのことを身をもって実感している。
だからこそ、DAYLILYの挑戦を
応援してくれるのだと思います。
DAYLILYはまだ小さなブランドですが、
これからも頑張って、
世界中の女の子が毎日ハッピーに過ごせるように、
そのお手伝いができるようになりたいです。
みなさん、これからどうぞよろしくお願いします!
また次回から、
台湾の人たちの生活と漢方について
書いていきますね。
DAYLILY Flagship Store
台北市松山區民生東路五段165-1號一樓
+886-2-2761-5066
11:00〜21:00 日曜日定休
http://daylily.com.tw/