台湾的日々漢方

エリさんは台北で、
漢方薬局を営むご両親のもとに
生まれました。
台湾の大学で音楽科を卒業し
アメリカでクラリネット奏者として
活動した後、日本の大学院へ。
卒業後、漢方ブランド「DAYLILY」を
起ち上げ、おしゃれでかわいい、
気持ちも体調も上がるような
漢方ライフを提案しています。

「台湾での漢方の存在感や立ち位置は、
日本でのそれとは少し違います」
とエリさん。
曰く、台湾での漢方は、
「もっと身近で、普段の生活にあるもの」
なんだそうです。
普段の生活に漢方があるって、
毎日漢方薬を飲んでるってこと…?
と思ったら、そうではない様子。
台湾の人たちは、漢方の知識や考え方を
普段の生活に取り入れて、
自分の体と上手に
お付き合いしているようなのです。

そんな台湾の人たちの生活について
エリさんが書いてくれることになりました。
漢方のこと、台湾の人たちのこと、
わたしたちの体のこと、
みなさんと一緒に
楽しみながら知っていきたいです。
不定期連載、編集担当は深谷です。


プロフィールサンプル画像
王怡婷(ワン・イーティン)

通称エリさん。
台湾の台北市にある漢方薬局に生まれ育つ。国立台湾師範大学音楽学科修了後、ニューヨークでクラリネット奏者として活動。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科修士課程を修了。卒業後、大学院時代の先輩である小林百恵(こばやしもえ)さんと一緒に、漢方のライフスタイルブランド「DAYLILY」を起ち上げ、アジアの女の子たちの体温と気分をあげるべく活動している。
DAYLILYのウェブサイトはこちら

8.日本の春と台湾の春

皆さん、お元気ですか?
DAYLILYのエリです。

また花粉の季節がやってきましたね。
わたしの友人も
花粉症でとても苦しそうです。
外出する際は必ずマスクをし、
家へ帰るとすぐに空気清浄機をつけて
コートについている花粉を払い落とす。
それでも鼻水は止まらないし、
目はいつも赤くてかゆそうです。

台湾には花粉症がなく、
わたしは日本に来てはじめて
その存在を知りました。
知ったところで、
「わたしには関係ないかな」なんて
思っていたのですが、昨年の春、
急に目がかゆくなったり、
喉の調子がわるくなったりと
花粉症のような症状が現れました。
それ以来、花粉に恐怖を感じています。

もともと持病がないわたし。
花粉症になることなく
日本で過ごしたいのですが、
どのように予防すればいいのかも
わかりません。

花粉症に苦しむ日本の人たちを見ると、
わたしはいつも不思議に思います。
もし台湾で、こんなに広範囲で
多くの人が苦しむ病気が発生したら、
恐らくみんな我慢できず
外に出てデモを起こしているはず(笑)。
日本の人たちのように、やさしく
穏やかに花粉症を受け入れることは
できないと思います。

そんな花粉症のない台湾で
人々を困らせているのが大気汚染。
特に春にひどく、その意味で
日本における花粉症の問題と似ていますが、
日本と違い、台湾の人たちは
とても不満を感じていて、
よく文句を言っています(笑)。

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台湾では、バスや電車などの
公共交通機関が時間通りに動かないため、
多くの人が、自分でバイクを買って
自分の時間をコントロールしています。
わたしも大学生の頃、よく友人のバイクの
後ろに乗せてもらいましたが、
大気汚染により、乗った後は
顔が黒くなっていました。

台北101のような高層ビルから
外を眺めても、白くかすんでいて
景色がキレイに見えないし、
日本みたいな青空も
台湾ではめずらしい。
わたしは、大気汚染が原因で
気管支炎になったこともあり、
とても苦しかったのを覚えています。

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こんな状況なので、できれば
外で長時間過ごすことは避けたい。
けれど、そうもいかないですよね。
個人として何か対策を取ろうにも、
できることは、マスクをするくらい。
わたしともえさんが台湾で過ごすときも、
特に対策は取ってきませんでした。
 

そんな中、この大気汚染に対応した
漢方薬が登場。

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ミントガムのように涼しげなパッケージの
この漢方薬。
パッケージの2.5が表すのはPM2.5、
つまり、PM2.5対策に効果がある
漢方薬なんです。

以前、台湾で漢方の専門家の方たちと
お会いしたのですが、
その時に、この漢方薬を紹介されました。

肺に良い「麦門冬(ハグモントウ)」や、
同じく肺に良く、咳をしずめる効果のある
「羅漢果(ラカンカ)」、
痰をなくす効果のある「桔梗(キキョウ)」、
喉に潤いを与えてくれる
「魚腥草(ギョセイソウ)」と
「甘草(カンゾウ)」といった生薬が
つかわれていて、肺や喉の機能を
強めてくれます。
これにより、汚染された空気を吸った時に
身体がうける影響を小さくするという発想で
生まれた漢方薬だそう。

中身は粉状。
苦くないように加工されていて、
漢方薬が苦手な方でも
安心して飲めるとのことでした。

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実際に飲んでみると、
のどや食道のあたりが
ミントガムを食べた時のように
涼しくスースーしてびっくり!
なんだか、吸った空気まで
きれいになっているように感じます。

これまで台湾の人々は、
大気汚染に悩みつつも
マスクをするくらいしか
自分を守る方法がありませんでした。
そんな中で登場した、
この新しい発想の漢方薬。
人々が、普段から漢方に
慣れ親しんでいることもあり、
売れ行きは好調のようです。

実はこの漢方薬、
紹介してくれた専門家の方は
花粉によるアレルギー症状の緩和にも
効果があるのでは、と考えていました。
実際に、花粉症に苦しむわたしの友人が
飲んでみると、花粉による喉の不調には
効果が感じられたよう。

鼻水やくしゃみなど、他の症状に
効果があるのかについてはまだわからず、
これから実験をする必要があります。
もし漢方薬が、花粉による諸症状を
緩和出来るようになったら
わたしはうれしいです。

「花粉症でツライけれど、西洋薬を飲むのは
抵抗があるなあ」という方、
もし機会があったら、
この大気汚染対策の漢方薬で
花粉による諸症状への対策をしてみては
いかがでしょうか。