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2.僕のメディア
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- そうして大学卒業から現在まで、新聞社でエディトリアルカートゥニストとして働いているんですね。
私の勝手なイメージなのですが、Unmadのような風刺漫画や、新聞で見る政治への風刺画を描いている人は、みんなおじさんだと思っていました。 - トンモイさん
- 僕もおじさんを想像してしまいますね(笑)。
実際、新聞社でエディトリアルカートゥニストとして働くには、自分は若すぎると思います。
政治や社会に関する知識や、深い考察が必要なので。
いつも新聞を読んで勉強しています。 - -
- そもそも、風刺画に興味を持つ若い人が珍しいような気もします。
- トンモイさん
- あー、なるほど…。
僕にとっては、絵を描くことって、上手に描くことだとか、きれいに描くことではないんですよね、子どものころから。
絵を描くことは、メッセージを伝えることなんです。 - -
- メッセージを伝えること。
- トンモイさん
- 自分の考えについてなんです。
「何かしらの状況に対して、僕がどう思っているのかを見せますよ」というのが、僕にとっての絵です。
だから、描くということは、常に僕のメディアでした。
あと、これはなぜか分からないですけど、描くというメディアを通して発信するのは、自分自身に対する考えではなく、僕を取り巻くことたちに対する考えです。
友達であったり、何か街なかで起きたことであったり。
ダッカという街で育ったからかもしれないですね。
おもしろくて、狂っていて、毎日いろんなことが起きる街だから。
僕みたいなカートゥニストにとって、話題に事欠かない街です。
通勤中も、常に街なかのことを観察して、いろんなことを考えています。 - トンモイさん
- だから、新聞社でエディトリアルカートゥニストとして働くことに興味を持ったんだと思います。
世の中に対する自分の考えが、新聞の一面に掲載されるのを想像した時、すごくワクワクしたんです。
どんなに影響を与えられるだろうかって。
バングラデシュの新聞では、風刺画が重要なポジションにあるんです。
普通に記事やコラムを書いたら、中の方に掲載されて終わりかもしれないですけど、風刺画は一面に掲載されることも多い。
実際に新聞社で仕事を始めてからは、朝起きて、自分の描いたものが一面に掲載されているのを見るのが本当に楽しみで。
僕の歳では、なかなかできない経験だと思います。 - -
- 風刺云々ではなく、トンモイさんの考えを多くの人に伝えるのが、トンモイさんの絵なんですね。
- トンモイさん
- 新聞社で雇われて描いているので、自分の考えではなく、新聞社の考えを描かなきゃいけないってこともあり得るんです。
「お金払ってるんだから、頼んだものを描け」と。
でも、そうならないように、自分と意見が異なることを描くように言われた時は、相手の考えを聞いて、自分の考えを伝えて、議論をして。
自分が納得したことを描けるように、自分のスペースのようなものを確保する努力もしてきました。つづきます