TSUMUGIのこと、日々のこと
TSUMUGIのことや日々考えたことなどについて
深谷が書きます。
価値を生み出すこと
吉本隆明さんという方が書いた「ひきこもれ」を読んだ。
という方、とつけてしまうくらい、吉本さんについては知らない。お名前は、わたしが毎日のように訪れる「ほぼ日刊イトイ新聞(ほぼ日)」でよく目にしていたが、関連するコンテンツをしっかりと読んだことはないと思う。吉本ばななさんのお父さんであることは知っているけど、わたしは、ばななさんが書いた本も読んだことがない。
それなのに、吉本さんの本に興味を持ち、その日のうちにkindle版を購入して読んだ。
きっかけは、ほぼ日で、その主宰者である糸井重里さんが書いた、「ひきこもれ」についてのこんな一文だ。
「『ひとりの時間』を持つということ、こまぎれに分断されずに集中して考える時間が、人にとって、とても大事なことだということが、本のメインの内容だとは言えます。」
わたしは社会人二年目を考えることに宛てたから、ああ、それがとても大事なことだということは分かるなあ、と思った。
科目履修生として学部生に混ざって授業を受けて、NGOが開く勉強会に参加して、家では本を読んだ。とにかく考え続けろ、と自分に対して思っていた。前年に貯めたお金だけでは生活できず週数日のアルバイトはしたけれど、それ以外の時間は、ひとりで考えていた。
それらを通し、国際協力に関心がある人たちの中での自分の個性、自分がゆずれないところ、自分にとって何が切実な問題かがわかるようになって、自分の目指すものが見えてきた。目指すものが見えたことで、目標志向型のわたしは生きやすくなった。そして、「途上国と先進国の関係の問題」について、自分なりの答えを提示できるようになった。
だから、ひとりの時間を持つこと、こまぎれに分断されずに集中して考える時間を持つことの大事さとか、その時間がもたらす豊かさについて、分かるなあ、と思った。
そして、この分かっていることについて、わたしはずっと、誰かとおしゃべりしたかったのだなあ、と思った。いい一年だったから、誰かに聞いてほしかったんだなあ。
ツムギの後のプロジェクトについて、あの時のように集中して、分断されずに考える時間は持てないけれど、それでも、もう一度「価値を生み出すこと」をやりたい。